COLUMN
2016.11.08

小さく始めて大きく生み出す。パラレルキャリアの可能性【ニャートさん寄稿】

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「新しい働き方」というと、起業やフリーランスを思い浮かべるだろうが、「パラレルキャリア」という働き方もある。

パラレルキャリアとは、Wikipediaによると、著書「マネジメント」で有名なドラッカーが提唱している生き方で、現在の仕事(本業)以外の仕事を持ったり、非営利活動などの社会活動に参加したりすることをいう。
つまり、本業+副業または社会活動、という生き方である。

といっても、敷居は低く、だれにでも始められる。
『時間と場所を選ばない パラレルキャリアを始めよう!』(ダイヤモンド社)の著者・石山恒貴教授によると、「社会活動」の定義は下記になる。

一方、社会活動とは、本人が本業以外に熱心に取り組んでいることです。どんな些細なことでもいいのです。同窓会の幹事、地域の自治会活動、仲間との自主的な勉強会、NPO活動、ボランティア活動、コミュニティカフェの活動への参加、対話集会への参加、こんなさまざまなことが社会活動にあたります。
「誰でも始められるパラレルキャリア」より)

私の父のように、定年後に町内会の活動に生きがいを感じている場合もパラレルキャリアといえるし、私自身のように、会社で働きつつ個人ブログを運営し、その結果この原稿を寄稿している場合も、パラレルキャリアといえる。
そう考えると、あなた自身も既にそうかもしれないし、あなたの周りにも該当する人はたくさんいるのではないだろうか。

パラレルキャリアがもつ自由

やりたいことを、自分のアイディア100%で、マイペースにできる

パラレルキャリアのメリットは、「やりたいことを、自分のアイディア100%で、マイペースにできること」だと思う。

例えば、私は来年の4月以降、病気などでレールを外れた人がその後どう働いていけばいいのか、実際の体験談などを取材して紹介し、一人ひとりの「けものみち」をだれでも再生産できるような情報発信をしていきたいと思っている。
そしていつかは、心の病などで普通の職場では働けない人たちが、体調のいい時に分業しあえる仕組みを作りたい

これは、私がブログを続ける中で、徐々にたどりついた「やりたいこと」だ。

とはいえ最初は、小銭稼ぎのためにブログを始めたのであり、やりたいことなど何も考えていなかった。
小銭を稼ぎたくて、検索されやすいニュース記事の感想など書いているうちに、それまで意識していなかったが、出版社を過労で辞めた後に非正規雇用を転々としている自分の中には、労働問題に対する問題意識が蓄積されていることに気がついた。
そして、その問題意識をブログに書き出しているうちに、自分の思いを書くだけでは足りないと思い始め、やりたいことが浮かんできたのだ。

ここまで、完全に自分のペースで、やりたいことに到達している。
(書きたいことにたどりつく前、ブログを5ヶ月中断さえしている)

対して、トップダウン・分業化された会社では、創意工夫をすることは難しい

本来は、仕事もこのようなものであればいいのにと思う。
始めはやりたいことを意識しない地点から始めたとしても、試行錯誤するうちにやりたいことが見えてきて、その実現のために自分のアイディアを出せるようなものであれば。

だが、日本ではほとんどの人が会社に雇われている。
会社とは、たいてい効率的にできている。
トップダウンで指示が伝わり、仕事も分業化され、工程の全てに携われることはめったにない。

工場で例えるならば、製造工程が細かく分けられ、コンベア上での作業が秒単位で決められ、働く人が創意工夫できる余地など全くない環境にいる人もいる。
できることは、いかにロスタイムを作らないか注意することだけであり、自分がどこの工程の何を作っているのかすら分からない。
毎日何時間も、生きている時間の大半を費やしているのに。

これほど極端でなくとも、裁量権がない立場では、やりがいを感じるような創意工夫をするのは難しい。
その上、どうでもいいことを細かく指示する上司などがいる場合、できる工夫といえば、いかにその上司の言われた通りに作業をこなすかだけになり、それは工夫でも何でもない。

個人でも人や資金を集めることが手軽になってきている

私はコミュニケーションが得意なほうではない。むしろ苦手なほうである。
それでも、ブログの感想をもらったりする中で、やり取りを交わすようになった方々が結構いる。
ブログで悲しい記事を書いたりすると、TwitterのDM(メール)で親身になって心配してくれる方々がいる。

ブログで上記のやりたいことについて記事を書いた時、いつもの方々に加えて、新規で「何か手伝えることはないか」という提案をしてくださった方々もいた。
インターネットがなかった頃は、やりたいことのために起業した場合、協力者を集めるのは非常に大変だったと思う。
でも今は、面白いことを提案できる力があれば、自然に人が集まってくるのだ。

資金も、クラウドファンディングで集めることができる。
2012年の話になるが、日本一有名なニートのphaさんは、著書を出版するための費用をクラウドファンディング「CAMPFIRE」で集めた。
出版後に著書をプレゼント+公式サイトに名前掲載などの付加価値をつけることで、出版前に著書分の代金を集めるという面白い試みだった。
通常、クラウドファンディングで資金を集めるプロジェクトはもう少し規模が大きいものが多いのだけど、個人のブロガーでも資金を集めることができると勇気づけられたケースだった。

パラレルキャリアがもつ制限

報酬が少ない場合にやりがいを見出すことができるか

ここまで、パラレルキャリアのメリットについて書いてきたが、デメリットも書いておきたい。

始めに紹介した石山教授は、パラレルキャリアの例として「プロボノ」を利用した社会活動を挙げている。
プロボノとは、個人とNPOを仲介する組織である。
例えば、プロボノの一つである「サービスグラント」では、自社サイトで各NPOの活動を募集している。
「やりがいのありそうなプロジェクトがこんなにあるんだ」と一瞬胸が高鳴るが、これらはボランティアであり、無償である。

これは、上記で挙げたブログ運営などでも同じことだが、無償または最初の報酬が少ない時期において、お金以外のやりがいを見出し、それに心から納得できるか、というのは重要なポイントだと思う。
実際に、プロボノなどのボランティアへの参加においては、やりがいと団体への信頼感がないと、自らが搾取されているように感じてやめる人もいる。
ブログ運営のように自らの自主性に100%任されている場合でも、手間と時間がかかる割には儲からないと悩んでやめる人も多い。

それでもパラレルキャリアに可能性を感じる理由

それでも、パラレルキャリアには、これからの新しい働き方を広げてくれる可能性を感じている。

例えば、妊娠・出産で、それまで勤めていた会社に育休などの制度がなく、泣く泣く会社を辞めてキャリアにブランクが生じる人は、いまの日本では多いと思われる。
ブランクは悪いことのように思われがちだが、出産や育児によって新たな世界と交友関係に飛び込み、それまで気づかなかった問題意識やアイディアを抱くことで、働き手として成長していく人もいるだろう。
また、終身雇用が崩れつつある今、20年後も同じ会社で働き続けることができるのだろうかと考えた時、不安を感じる人も多いだろう。
そうした問題意識をブログなどで発信し、共感者を集め、世の中を良くするアイディアを事業として実現することは、昔よりずっと手軽にできる。

パラレルキャリアなら、今の本業を続けながら、小さく始めて大きく生み出すことが可能である
歯車として働き続けて、スキルもつかずやりがいも感じられず、一日の大半を会社に捧げることに疑問を感じているのなら、どんな小さなことでも始めてみるのもいいかもしれない。

筆者:ニャート
元編集者。過労で退職→引きこもり→派遣社員の人生経験をもとに、主に労働関係についてブログ「ニャート」を書いています。
BLOGOSのライターです。

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