COLUMN
2016.07.05

話のすれ違いに悩んでいる人へ。“天才ディレクター”のクリエイティブなコミュニケーション術

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お悩み1:取引先やチームメンバーとのコミュニケーションがすれ違っている!

shutterstock_284622233はあ〜……。

F2もし、そこのあなた……。一体何をお悩みですか?

F3うわぁ!何ですか、あなたは?

F35私は「仕事人コンシェルジュ」をやっているものです。

仕事人コンシェルジュ?聞いたことがありませんが。


仕事人コンシェルジュとは、皆さんのお悩みを解決する「仕事人」の情報を紹介する職業のことです。開業したばかりで、ただいま無料でご相談に乗っています。いかがですか?何かお悩みのようですし、相談してみては……?


相当怪しいが、無料というのなら、相談してみようかな……。実は……。

Aさん(27歳・ディレクター)

私はある制作会社でディレクターをしているのですが、どうにもクライアントやデザイナー達とうまくコミュニケーションが取れていない気がするんです。クライアントからはしっかりヒアリングしているのですが、いざ提出してみると「何か違う」と言われる。そもそも私の意図するところがデザイナーにうまく伝わっていないこともある。誰もが納得いくデザインができるのに、すごく時間がかかってしまうんです。

また、それだけでなく、チームメンバーの士気がどうにも低く、遅刻も多い気がして。きっと前任者と違い、私にデザイン経験がないから軽視されてるんじゃないかと思ってます。多分、「どうせあいつには話が通じない」と思ってるんですよ。

 

F37なるほど。デザイナーとのコミュニケーションに困っている、というわけですね。わかりました、わかりました。では、そんなあなたに見習うべき “仕事人”を紹介しましょう。それは、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんです。

F3佐藤可士和さんって、あの!?

F40はい。ユニクロやセブンイレブン、楽天など数々の企業のブランディングや、テレビ番組のロゴデザインなどを手がけた、日本を代表するアートディレクターです。職も同じですし、きっとあなたの良いお手本になりますよ。


ちょ、ちょっと待ってください!可士和さんについては私も知っています。本当にすごいアートディレクターだと思っていますし、尊敬もしてます。でも、彼はただのディレクターではなく、美術大学を卒業したクリエイターでもあります。クリエイティブについて全く知識がない私とは境遇が違うじゃないですか。可士和さんは自身の経験をもとにデザイナーを導くことができますが、私には無理なんです。



いいえ、知識があろうとなかろうと、本質は同じです。そもそもクリエイティブとは何も敷居が高いものではなくて、身近なものから始められるものです。可士和さんは、著書『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』の中で、コミュニケーションは非常にクリエイティブな行為であると言っています。


人間同士はたやすく分かり合えない。仮説をどんどん相手にぶつけろ!

F3コミュニケーションが“クリエイティブ”な行為ですか?


F38そうです。一つお聞きしますが、あなたはコミュニケーション能力に自信がありますか?


それなりにある、と自分では思ってます。人前で話すのに物怖じはしないタイプですし、じっくり人の話を聞くこともできます。


F36ただ、そのコミュニケーションがあまり上手くいってないとあなたはお悩みなのですよね?可士和さんはこう言っています。

うまく本音を引き出そうと思ったら“仮説をぶつけてみる”ことが一番でしょう。「あなたが一番強調したいことは、こういうことですよね」「こんなことを目指しているんですよね」など、言葉にして確認してみることをおすすめします。
p22

F38いわゆる「思考の情報化」というプロセスですね。あなたは、クライアントと話すときに、「この制作物で実現したい目的はこういうことですよね?」という仮説を一度ぶつけていますか?そこで完全な同意を得られるかどうかが非常に重要だと思うのですが。


なるほど。言われてみれば、クライアントの言うことをただニコニコ聞いているだけだったようにも思います。


可士和さんは「人間同士はたやすく分かり合えない だからこそ、誠意を込めて相手のことを理解しようとする姿勢が大切だ」(p26)と述べています。「相手は自分のことをわかってくれるだろう」と思い込むのは、普段の人間関係においても危険なことですね。しっかり言葉に落とし込んで伝えるようにしましょう。

百聞は一見にしかず。思考を簡単なスケッチに落とし込む

 


要は、私のように上辺だけの雑談や形だけの相槌では、本質的なコミュニケーションと言えないというわけですね。なるほど、クライアントに対するコミュニケーションの取り方はよく分かりました。しかし社内のデザイナーにディレクターとしての意向を伝える時はどうでしょう?私がいかに正確にクライアントの意図を理解したとしても、デザイナーの方が仮説を積極的にぶつけてこなければ、結局認識をすり合わせることはできないのではないでしょうか?


F39では、可士和さんの“伝える”手法についても紹介しましょう。可士和さんはドコモのキッズケータイのデザインを考えたとき、このようなラフなデザインのみを元にして話し合いながら作っていったそうです。


FF1
p42,p43の図を参照


このように思考をビジュアル化するのは、お互いにイメージを共有する上で非常に役立ちます。もしデザイナーとイメージを共有できているか不安になったら、一度簡単なスケッチを描いてみるといいかもしれません。デザインを学んでいなくても、こういう絵なら描けますよね。


そうですね。これぐらいなら絵心のない私でも書けそうです。


F40何もこのラフスケッチはデザインに限らず、いろんな場面で使うことができます。こんな簡単な絵でさえ、チームをまとめるのには役立つでしょう。


p45の図を参照


チームを作る段階で左のような絵を描いて共有すれば、「みんなで協調性を発揮しながら仕事に取り組むチームなのかな」というイメージが湧くでしょう。または、今後の目標を右のように示せば「短期で急激に業績を上げるつもりなんだな」ということがわかりますね。いずれにせよ、言葉で表すよりも図で示した方が印象にも残るでしょう。


言われてみれば、自分はいつも「言葉」だけで伝えようとしていた気がします。


F33「百聞は一見にしかず」という言葉もあるように、視覚的なインパクトを軽視してはいけませんね。

“自分ごと”と思ってもらうことがメンバーの原動力に!どんどん巻きこもう

 

では最後に、メンバーの士気の問題はどうすれば良いでしょうか。遅刻するデザイナーが多く、やる気もあまり感じられません。何よりも足りないと思うのは主体性ですね。自発的な動きが見られないというか。



メンバーのやる気について、可士和さんは「もっとも大事なポイントは“自分ごとにさせる”こと」(p94)だと述べています。他人事ではなく、「いかに自分との接点を持ってその仕事に積極的に取り組めるかが、クリエイティブに物事を進めるための原動力になる」(p94)とのこと。



自分ごとにさせる……?仕事はそもそも自分のものではないですか?



F33可士和さんの例を挙げましょう。東京都交響楽団のロゴマークの作成を依頼されて、可士和さんがまず取り組んだのが、楽団のメンバーとのディスカッションです。当の本人である楽団のメンバーにとっては、“他人事”となっていたロゴデザイン。その議論に無理やり巻き込むことによって、より楽団の魅力を引き出すロゴのアイデアを生むことができたと言います。



そんなことがあったんですね。でも、それはクライアントとの話ではないでしょうか。デザイナーにとって仕事が“他人事”となっているとは、私は思いません。



F34いいえ、同じです。デザイナーの中に「どうせ決定はディレクターが行うんだ」という意識があるのではないでしょうか。より良い成果を上げるために、どんどん人を巻き込み、一人一人にしっかり裁量を与え、“この仕事は自分のもの”という意識を持ってもらいましょう


「言われてみれば当たり前のこと」を意識しよう

F35どうでしょう。悩みは多少軽減されましたか?



結局は、人と人とのコミュニケーションが肝心で、今まではそんな基本的な部分が意外とできていなかったんだな、ということがわかりました。



F38今回お話ししたことは、どれも「言われてみれば、確かにそうだよね」というような内容だと可士和さんご自身も言っています。でもその「言われてみれば」の部分に気づくか気づかないか、それがクリエイティブの分かれ目なのでしょう。佐藤可士和さんのような偉大なディレクターになられることを期待していますよ!

 

参考:佐藤可士和著『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』
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