COLUMN
2016.07.19

転職するかどうか、迷い続けている人へ。“稀代の棋士”の決断する力

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お悩み2:転職するかどうか決断できない!

shutterstock_331064300…………。

F38そこのあなた、歩きながらのスマートフォンは危ないですよ。

うわっ、すみません……。

F36思わぬ事故のきっかけにもなるので、歩きながらスマートフォンを触るのは控えましょうね。ところで、浮かない顔をされていましたが、何かお悩みですか。私は、悩める方の助けとなるように、仕事人の考え方を紹介する「仕事人コンシェルジュ」。いかがでしょう。お悩みがあればご相談してみては?

はぁ、よくわかりませんが……。まあでも、お金を取られるわけではないなら、聞いてくれますか?実は……

Bさん(29歳・事務職)

私はとある中小メーカーに新卒入社して、今7年目です。仕事は裁量も与えられて充実しているのですが、実は最近転職を考え始めまして……。以前から趣味で勉強していた英語を仕事に生かせる仕事に就きたいと思ったんです。実際に、ある外資系のメーカーから内定をいただきました。

ただ、今の職場に大きな不安はないので、本当に転職していいものか迷っているんです。それで、最近はいろいろとインターネットで情報を収集していて。でも結局、反対の声も賛成の声もあるわけですよ。


F36なるほど、転職するか否かで迷われているというわけですね。

はい……。

なるほど……。そんなあなたが見習うべき仕事人は、将棋棋士の“羽生善治”さんです。棋士としての実績はピカイチなので、ご存知かもしれませんね。中学3年生でプロデビューし、史上初の棋界7タイトル独占、通算勝率7割超えを誇る方です。

羽生さんは確かにすごい方だと、将棋をしない私でも知っているのですが、転職と何か関係があるのでしょうか。

F35はい、もちろんです。稀代の勝負師、羽生善治という男の考え方は、あなたの転職への迷いを解決する助けとなるでしょう。

情報は「選ぶ」よりも「いかに捨てるか」

まず、あなたは転職への迷いを解決するためにインターネットで情報を収集しているとおっしゃいましたね。もちろん、情報収集は重要ですが、実際、それで迷いがさらに増してはいませんか?転職して成功した人の話、失敗した人の話……いろいろな情報を得たことでしょう。しかしその情報がノイズになってはいないでしょうか。


言われてみれば、確かにそうですね。「今すぐ転職するべきだ!」というブログを読んで転職の決意をしたのに、「転職した失敗した話」をネットの掲示板で読んで不安に思ったり……。


羽生さんは著書『決断力』の中で次のように述べています。

情報をいくら分類、整理しても、どこが問題かをしっかり捉えないと正しく分析できない。さらにいうなら、山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには、「選ぶ」より「いかに捨てるか」のほうが重要なのである
p129

F36
転職をするか否かを判断する上で、あなたが本当に欲している情報は何でしょうか。転職を成功させるにはどうしたら良いか、という情報ですか?それともお給料の問題ですか?そういう問題点を、自分の中ではっきり整理することが出来ていなければ情報は溜まっていく一方、迷う要素は増えていく一方ですね。


でも、迷うんだから、情報をたくさん集めたいと思うのは当然のことじゃないですか!だって、それ以外に何を参考にしたら良いと言うんですか!?

F38それは、あなたの「直感」です。

「直感」は7割当たる。自分を信じろ


「直感」?人生の重要な判断をただの勘で決めろっていうんですか?

F35そうです。直感は想像以上に頼りになるもので、羽生さんも直感は7割当たると言っています。とはいえ、それは何もじゃんけんで何を出すか決めるときのように、適当に判断するのではありません。


よく意味が分かりません。

F40羽生さんはこのように言っています。

直感力は、それまでに色々経験し、培ってきたことが脳の無意識の領域に詰まっており、それが浮かび上がってくるものだ。まったく偶然に、何もないところからパッと思い浮かぶものではない。たくさんの対局をし、「いい結果だった」「悪い結果だった」などの積み重ねの中で、「こういうケースの場合はこう対応したほうがいい」という無意識の流れに沿って浮かび上がってくるものだと思っている。
P58-59


F29
つまり、経験則のようなものですか。しかし、年間何百もの対局を行う羽生さんと違い、私は初めての転職なんですよ。

F38確かにそうかもしれません。しかし、あなたがたくさんある選択肢の中からひとつの環境を選んだことは今までになかったでしょうか?高校や大学を決めるときや、今の職場や住む街を選んだ時、どのような基準で決断していたでしょうか。そしてその決断は成功と失敗、どちらだったでしょう。そういう経験値を、あなたは積み重ねてきたはずです。さて、そんな経験を積んだあなたの直感は、何と言っていますか?

積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にする


……なるほど、おっしゃることはよくわかりました。そういう理屈で言えば、今まで「やりたいこと」を優先してきた私の直感は“転職”を選びますね。しかしそれでもやはり、転職の大きなリスクからは目を背けることはできません。お話しした通り、職場の人間関係は良好ですし、待遇面にも文句はありません。ただやりたいことのみを優先して、それらを捨てるのも……。


「決断とリスクはワンセットである」と羽生さんは述べています。デビュー以来、棋士の厳しい世界で勝負に向き合い、勝利を積み重ねてきた彼だからこそ、「勝つ」ための心構えを知っているのです。

リスクを避けていては、その対戦に買ったとしてもいい将棋は残すことはできない。次のステップにもならない。それこそ、私にとっては大いなるリスクである。いい結果は生まれない。私は、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると、いつも自分に言い聞かせている。
P72



積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にする……。

F33長期的に見て、この転職という「リスク」はあなたにとってどういう意味を持つのか。考えてみてもいいかもしれませんね。

常に前進を続けるからこそ、勝ち続ける

F35どうでしょう?迷いは消えましたか?

F32
そうですね……。情報を集めすぎないこと、直感を信じること、そしてリスクへの考え方と、今まで私が持っていた価値観とはまるで異なるものでした。すぐに迷いが晴れたわけではありませんが、羽生さんの言葉、もう一度しっかり噛み締めようと思います。

F38多くの棋士は得意な戦法を持っていますが、羽生さんにはそれがありません。というよりも、あらゆる戦法を自在に使いこなして、圧倒的な実力を発揮しているのです。

勝負の世界では「これでよし」と消極的な姿勢になることが一番怖い。組織や企業でも同じだろうが、常に前進を目指さないと、そこでストップし、後退が始まってしまう
p43


F33と、羽生さんは言っていますが、7冠を取ってもなお、自身の将棋に対して「これでよし」としない、その姿勢が、あらゆる戦法の習得につながっているのでしょう。転職するにせよ、今の仕事を続けるにせよ、前進を止めないようにしてくださいね。

参考:羽生善治著『決断力』

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