COLUMN
2016.07.12

「意味がわからない」はもう卒業!現代アートでまず知っておくべき5人の芸術家

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みなさんは、「現代アート」についてどういうイメージを持っていますか。「難解で、よくわからない」「こんなの、誰でも作れるんじゃない?」などと思われている方もいらっしゃるでしょう。

確かに現代アートは、なんとなくでもその凄さを感じられる『モナ・リザ』や『最後の晩餐』、『ダビデ像』などの著名な芸術と違い、その意図するものが掴みづらいです。特に日本ではそもそも「アート」自体が高所得者の娯楽と思われている節もあり、「現代アート」はさらに近寄りがたいジャンルとなっています。

そこで今回は、読者の皆様に新たな教養として「現代アート」を知っていただくための入り口として、日本の現代アートの作家5名を紹介します。

そもそも現代アートとは?便器から始まった芸術

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5名の作家を紹介する前に、まずは「現代アート」について軽く解説しておきましょう。

一般に、現代アートの起源は1917年、ニューヨークの展覧会にマルセル・デュシャンが出品した『泉』だと言われています。『泉』は、架空の芸術家の名前を記した、ただの便器です。この作品は「アート」と認められず、展覧会で展示されることはありませんでした。

しかしこれを契機に、「そもそもアートってなんだ?」「美しくなければ芸術ではないのか」という疑問がアーティストの間に広まり、従来の概念にとらわれないアート、「現代アート」が作られるようになったのでした。

「現代アート」を鑑賞するためには、その作品が作られた背景を理解し、その時代にある社会通念への批判精神を読み解く必要があります。そのため、多くの人にとっては芸術として楽しむまでのハードルが高くなっているのが現状です。

ではここからは現代アートの作家の紹介をしていきます。その作家の思想やスタイルを知ることは、作品を理解する助けとなるでしょう。

水玉の女王、草間彌生

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Keiko Hirataさん(@hiratakeikojapan)が投稿した写真 –

草間彌生さんは1929年生まれの前衛彫刻家・画家・小説家で、10歳の頃から今まで、70年以上に渡り作品を作り続けています。彼女が絵を描き始めたきっかけは、統合失調症を患い「世界が水玉に侵食される幻覚」に苦しめられるようになったことでした。

その水玉の恐怖から逃れるために作品に表現した水玉は、見る人に「無限」を感じさせ、1960年代には「前衛の女王」とまで呼ばれるようになりました。

草間さんの作品は彼女自身の幻覚や性への恐怖に対する自己療法であると同時に、一時代の潮流を作る役割も果たしています。

1962年に開かれたニューヨークの個展では、性への恐怖を表したソフトスカルプチュア(ゴムや繊維など柔らかい素材を使った立体作品)を発表。同展ではアンディ・ウォーホルなどの著名な作家もソフトスカルプチュアを発表しており、彼らとともにソフトスカルプチュアの時代を築きました。

オタク文化×アート 村上隆

#murakamitakashi

A photo posted by Wan (@wan.tao_) on

村上隆さんは草間彌生さんと並んで海外でも知名度の高い芸術家の一人です。村上さんは現代美術家としてだけではなく、映画監督や、アーティスト集団カイカイキキの代表と、幅広く活躍しています。

東京藝術大学にて博士課程を修了後、カリフォルニア大学にて客員教授を務めた村上さんは、ロサンゼルスで『SUPER FLAT』展や『リトルボーイ』展などを開催。ジャパニーズ・オタクカルチャーを海外に広く知らしめました。

村上さんの作風は、日本のポップなオタク文化やサブカルチャーと、アートの融合。これはアニメーターを目指していた経験によるものと言われています。「オタク文化」と「アート」、「大衆芸術(ローアート)」と「高尚芸術(ハイアート)」という、一見正反対にも見える2つを組み合わせて化学反応を起こし、世界に日本を象徴する新しい現代アートを作り出しました。

ときにその作風は「オタク文化のいいとこ取り」と批判されることもありますが、自身がプロデュースしたフィギュア『マイ・ロンサム・カウボーイ』が2008年に16億円で落札されたり、若手現代アーティストのために各種イベントを開いたりと、日本の現代アートを語る上で欠かすことのできない人物です。

取り扱い注意 会田誠

#AidaMakoto

A photo posted by Josh Nien (@joshnien) on

1965年生まれの会田誠さんは、バイオレンスな描写や社会通念に反するような作風で、「取り扱い注意」の芸術家として知られています。多動性障害(ADHD)で周りに馴染めず苦しんでいるとき、「芸術」に出会ったことが転機になったとのこと。

会田さんの表現はそのセンセーショナルな作風ゆえに、物議をかもすこともしばしばです。例えば2015年には「文部科学省に物申す」「もっと教師を増やせ」といった文章を記した『檄』という作品がクレームを受け、東京都現代美術館から撤去されています。

しかし、会田さんはただ単にセンセーショナルな表現を追求しているのではなく、日本の現実を見つめ、矛盾を暴き出そうとしているのです。批判を受けながらも、会田さんは今も意欲的に作品を作り、現代社会の矛盾を描き続けています。

にらみつける少女 奈良美智

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A photo posted by Shimi Micäela (@shimimicaela) on

青森県出身の画家・彫刻家の奈良美智さんは、ドイツの芸術アカデミーを終了した後、1994年から2000年までケルン近郊のアトリエで多くの作品を制作しました。2001年からは拠点を日本に移し、ニューヨーク国際センター賞や芸術選奨文部科学大臣賞などの賞を受賞しています。

奈良さんが独特なタッチで描く、「にらみつける少女の絵」は毒っ気のある可愛さで人気を集めており、その鋭い目線には、怒りや不満の感情が込められています。

そこに込められているのは、大人や権力のある者が中心となっている現代日本への「不信」。そういった、時代そのものが持つ感性を芸術として表しているのが奈良さんの作品なのです。

LED作品の第一人者 宮島達男

宮島達男さんは、奇抜な表現方法の多い現代アートの中でも風変わりの「発光ダイオード(LED)」を使った表現を開拓している作家として知られています。

LEDの点滅速度や、点滅する数字によって思想を表現する彼の作風は、見たものに荘厳さを感じさせると評判になりました。どこか神秘的な雰囲気を持つ作品は、東洋思想に通ずるとの声もあります。

特に有名な作品は1999年に現代美術の国際展示会であるヴェネツィア・ビエンナーレに出品した『Mega Death』です。戦争や大量虐殺により失われた命、そして新しい命の煌めきをLEDの点滅によって表したこの作品は、宮島達男の名前を世に知らしめました。

彼の作品のコンセプトは、「それは永遠に続く」「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」。そのコンセプトが如実に表れているのが、2003年に制作され、2016年に5年ぶりに再点灯されたパブリックアート、『Counter Void』です。

東日本大震災発生後、節電のために消灯して5年。3日間限定で再び点灯することで、震災の記憶を人々に想起させる、新たに考えを深める機会を設けました。まさに、「変化し続ける」アートと言えるでしょう。

終わりに

難解に思える「現代アート」ですが、作家一人一人に焦点を当てれば、その背景が理解でき、さらに作品を楽しむことができるはずです。

西洋美術を知るために私達がゴッホやセザンヌを学ぶように、まずは一人一人が持つ歴史から学んでいくことが、現代アートへの入り口なのではないでしょうか。

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