COLUMN
2016.09.20

【若者を使いつぶす】ブラック企業と闘うための、心構えと法知識

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“いい顔になれる仕事発見マガジン”が、このメディアのテーマですが、現代日本には、いい顔で仕事をできていない人がまだまだたくさんいます。そのひとつの例が、「ブラック企業」に務める人たち。

希望に満ちて入社したにもかかわらず、長時間の拘束や心ない言葉によって暗い顔で職場に向かう……。読者の方の中にも、そんな状況にいる方がいるかもしれません。

そこで今回は、ブラック企業に対してどのように戦っていくべきか、具体的な法制度から心構えまで解説していきます。

長時間労働にパワハラ……。人を人と思わない、ブラック企業の現実

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ブラック企業とは、「違法な労働条件で若者を働かせる企業」のこと。長時間労働やパワハラを常態的に正社員に対しておこないます。2009年に『ブラック会社に勤めているんだがもう俺は限界かもしれない』という映画がヒットしたことをきっかけに、広く知られるようになり、2013年には流行語トップ10にまで入りました。

劣悪な労働条件で若者を長時間働かせ、使いつぶす。こういった手口で未来ある多くの若者が心身を病み、離職に追い込まれてきました。ひどいところでは過労死や過労自殺を出した会社もあります。

今野晴貴著『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』では、いくつか事例が紹介されています。

例えば、毎日2時間「お前は信用されてない」「人間としておかしい」という、人間性を否定されるような叱責を受けて退社を強要されたIT企業の社員。1日14時間以上の労働に加えて徹夜での勤務をさせられ、入社7ヶ月で休職(その後退職)に追い込まれた衣料品店舗の店員。

彼らのような人は日本にはたくさんいます。自分では気づいていなくとも残業が月60時間を平気で超えたり、社内で罵声が飛び交っていたりしたら、すでにブラック企業の兆候は現れているかもしれません。

ブラック企業の兆候を見抜け!若者雇用促進法

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このようなブラック企業の被害を防ぐためには、まずブラック企業に入社しないことが重要になります。2年目や3年目の若い社員の離職率が高かったり、面接が非常にあっけなく、すぐに採用されたりしたら、十分に注意が必要です。

そのために役立つのが、若者雇用促進法です。正式名称は「青少年の雇用の促進等に関する法律」で、若者が適切な職業選択ができるようにする狙いで制定されました。

主な施策として、ひとつには新卒者は企業に対して過去3年間の新卒採用者数・離職者数などの職場情報の開示を求めることができます。また、ハローワークが労働関係法令に違反している企業の新卒者求人申し込みを受理しないこととなったのです。

これにより、ブラック企業だと疑わしい企業を若者が見破ることができるようになるほか、そもそも接触する機会を減らせることとなりました。ただし、この法令には特に罰則は設けられておらず、情報開示もあくまで“義務努力”なので、本当に効果があるのかという疑問の声も上がっています

闘うとなったら頼りたい。「かとく」と「労働基準監督署」

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また、2015年4月からは、厚生労働省によって「かとく(過重労働撲滅特別対策班)」も新たに設けられました。「かとく」とは、悪質な長時間労働や労働基準関係法令に違反する企業を取り締まる、まさにブラック企業に対抗するプロフェッショナル集団です。

2015年7月には初の事例として靴の専門店チェーン「ABCマート」の過重労働を摘発し、会社と現場責任者とを書類送検しています。その後もディスカウントストア「ドン・キホーテ」の5店舗での長時間労働を摘発し、“労働Gメン”としての役割を十分に発揮しています。

また、「かとく」に頼らなくとも、ブラック企業と戦う手段は十分にあります。その一つが労働基準監督署に通報することです。労働基準監督署は、労働基準法違反を監視する厚生労働省の機関です。労働基準監督署の監督官は司法警察官の権限も持っているため、法令違反の疑いが濃厚であれば強制捜査も可能とされています。

また、この労働基準監督署を通して、未払いの残業代の請求などをおこなうこともできます。そのためにはタイムカードや勤務時間を記した業務日報などが必要となるので、もし将来的に請求すると決めている場合は、前もって準備しておくといいですね。

ブラック企業に対峙するときの5つの心構え

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ブラック企業に対する心構えとして、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』では次の5つの思考・行動が紹介されています。


1.自分が悪いと思わない
2.会社の言うことは疑ってかかれ
3.簡単に諦めない
4.労働法を活用せよ
5.専門家を活用せよ

「自分が悪いと思わない」は過剰に自分をせめてしまい、うつ病になってしまうという事態を未然に防ぎます。また、どれだけブラックな企業でも最初のうちは優しいもの。完全には信用せず、「会社の言うことは疑ってかかれ」。そして、「簡単に諦めない」ことも重要です。泣き寝入りしてはブラック企業の思う壺だからです。

そのためには、「労働法・専門家を活用」することが第一です。上記で述べたような法律や専門機関を知り、頼ることができれば残業代の獲得や、違法企業の摘発につながるはずです。

時には逃げる勇気も必要

さて、ここまではおもに、ブラック企業とどのように闘うかについて記述してきましたが、最後にもうひとつ。もしどうしようもなくなったら、逃げてください。

「簡単に諦めない」という心得は紹介しましたが、それでも、もはや闘う気力する持てない方もいることでしょう。心が折れ、仕事に行くのが心底嫌だと思うかもしれません。そういうときは、休職という選択肢もあります。一旦逃げてもいいんです。

何よりも重視されるべきはあなたの心身の健康。「いい顔」になれない仕事から背を向ける勇気も、時には必要です。

参考文献:今野晴貴著『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文藝春秋)
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