INTERVIEW
2016.12.06

データを軸に経済を変える。メタップスが描く、一歩先のビジネスモデル

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「世界の頭脳へ」というビジョンを掲げ、佐藤航陽代表のもと、FinTechやAIに注力するメタップス。そのFinTechを支える代表的な事業が、オンライン決済システム、SPIKEです。

SPIKEは、2014年4月に日本でリリースされてからわずか2年で20万アカウントもの利用者を獲得。この決済サービスが凄まじい勢いで広まった背景には、基本プランは無料という「フリーミアム」モデルの採用があります。

しかし、いくらユーザーを集めても、基本無料で果たして利益は出るのかという疑念が生まれます。ましてや、SPIKEは有料プランの手数料も他社より低く抑えられているとのこと。それでいかにして利益を出しているのか。そのキーワードは、「ビッグデータ」にありました。

メタップス代表、佐藤航陽氏のインタビューはこちら:FinTechが空気のような存在になる。そんな未来の話【株式会社メタップス 佐藤航陽】

手数料が目的ではない。SPIKEを使って欲しいのは、“ビッグデータ”

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片桐真耶(かたぎり・まや)
SPIKE事業部コンサルタント。大手決済会社を退職したのち2015年メタップスに入社。 現在は、SPIKE事業を率いるメンバーとして大手企業からベンチャー企業まで幅広く担当し活躍。

—まず、SPIKEについて簡単にご説明していただけますか。

SPIKEは、オンラインショッピングで利用するクレジットカード決済のシステムです。フリーミアムモデルを採用し、「フリープラン」と中規模EC事業者向けの「ビジネスプレミアム」の2プランがあります。

「フリープラン」は利用料無料でクレジットカード手数料も月間決済金額10万円までは無料(超過分は3.9%+30円)です。一方で「ビジネスプレミアム」は月額3,000円でクレジットカード決済手数料は2.55%〜+ 10円〜/件です。

個人でご利用いただいたり、小規模EC事業者の場合は、「フリープラン」を使われる方が多く見受けられます。徐々にECでの売り上げが上がっていって「ビジネスプレミアム」に移行される方もいらっしゃいますね。「ビジネスプレミアム」は基本決済手数料を他社よりも低く設定しているので、初めからこちらのプランでご利用いただく方もいらっしゃいます。副業をなさっている方などは、個人で「ビジネスプレミアム」を利用される方もいますね。

ーメタップス社は2017年以降、FinTechとAIに注力すると発表されていますが、そのFinTechを担う決済事業としてSPIKEは期待されていますね。決済業界の中でのSPIKEの立ち位置というのをおうかがいできますか。

私は前職も決済業だったのですが、決済業界というのはそもそもBtoB領域でした。ですが近年、BtoCとまではいかないものの、どんどん個人で使う方が増え、ハードルが下がっていると感じています。将来的には個人で大きな売り上げを出す人もいるでしょう。そのような個人の時代を見据えた動きを私たちはしています。

—個人の時代を見据えた動き、というのは?

私たちの決済事業と既存の決済事業は、そもそもビジネスモデルが違うのです。

通常の決済代行ですと、手数料で利益を求めるため、手数料を高めに設定しなければなりません。また、契約先を法人に限定したり審査を厳しくするなど、しっかり手数料を払えることを前提としている企業もあります。

私たちは手数料ビジネスではなく、このサービスを通して獲得する行動データや決済データをもとにして、次のマーケティングやコンサルの施策を展開していこうという発想です。そのため、個人の方も含めてできるだけ多くの方に使って欲しいと思っています。

SPIKEと通常の決済事業とでは、ビジネスモデルが違う

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—そのビッグデータを集めるための集客の手法のひとつとして、SPIKEが採用している「フリーミアム」モデルがある、と。「フリーミアム」について少しご説明いただいてもよろしいですか?

フリーミアムモデルとは、簡単に言うと、基本プランは無料、高機能のプレミアムプランは有料で提供するビジネスモデルのことです。無料ユーザーに提供しているサービスのコストは、有料ユーザーが払う料金によって賄われています。

—有料ユーザーよりも無料ユーザーのほうが多いと思われるのですが、コストを賄い、さらに利益をあげることができるのでしょうか。

そこは、パレートの法則(※)ですね。後ほど説明しますが、弊社が提供するSPIKEのサービスも、無料ユーザーが圧倒的に多いです。しかし、web事業だからこそコストも抑えられ、少数の有料ユーザーが払う料金で成立しているのです。

(※)ビジネスでよく使われる、8:2の法則。全体の2割のリソースで残り8割を支えていることなどに使われる。フリーミアムモデルで言えば、2割の有料ユーザーが8割の無料ユーザーを支えていることを示す。

—片桐さんの体感として、どのような過程でこのフリーミアムモデルが成立してきたと思いますか?

インターネットの普及とともに、だと思います。インターネットの普及自体はここ20年間のこと。ECサイトになると、本当に10年ちょっとです。10年前、15年前にインターネットを通じて積極的に買い物をしていた層は、そもそも関連機器自体も高いので富裕層が中心でした。良いサービスにはお金を積極的に払う。

しかし、今ではひとり一台モバイル端末を所持するのが当たり前になり、誰でもインターネットで買ったり売ったりをする時代。そこで、限られた層に提供するだけでなく幅広いユーザーに受け入れてもらいやすい“無料”という戦略が必要になってきたのです。

—フリーミアムモデルはこれから普及していくと思いますか?

もちろん。というよりも、web事業の場合、フリーミアムでなければ通用しなくなるのではとさえ私は思っています。webはユーザー集めが何よりも重要です。いきなり「面白そうだから課金しよう」というユーザーは今、あまりいませんよね。まず無料で使ってみたうえで、「もっと使ってみたい」「アップグレードしたい」と考えて課金するでしょう。

例えば、今注目されている『メルカリ』というCtoCのサービスも、利用自体で料金が発生することはありません。実は『メルカリ』は最初、販売手数料を無料にして集客をしていましたが、現在は手数料を取っています。(※)

(※)2013年7月にリリース、2014年10月より販売手数料を10%に設定

単なる決済プラットフォームにとどまらない。目指すのは、FinTechの総合プラットフォーム

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—手数料を低く抑えて、なおかつフリーミアムでユーザー数を増やし、集客をする……。それはすべて“データ”を元にビジネスを進めていこうという意図があるからなのですね。

弊社は成長戦略として、事業で得られたデータをAIに反復学習させることで経済を成長させる、「データノミクス」を掲げています。

そのため、代表の佐藤は“ビッグデータ”という単語が世にでてくる以前から常々「自分たちは“テクノロジー”の会社だけれど、“データ”に意識を置いてくれ」と言っています。

ー未来に向けて、今はデータを集める時期にあると。

そうですね。また、データを軸に事業展開を進めており、現在では民泊のデータを利用した「SPIKE for 民泊」のような新サービスも立ち上げています。例えるならば、“種まき”の時期ですね。どのようなサービスが当たるのか検証しながら、高速でPDCAを回していっています。

—しかし、それだけ新しい領域にチャレンジするぶん、実働する立場としては大変なことのほうが多いのではないでしょうか。

もちろんそうですね(笑)。私自身、メインはSPIKE事業のコンサルタントですが、ECコンサルも、民泊事業もおこなっているため、毎日のインプット量は膨大なものとなります。アウトプットも最近はSPIKE BLOGでビッグデータの解析結果を定期的に発信しています。でも、どんどん新領域に着手できるのは楽しいですし、本当にワクワクしますよ(笑)。

ーお話を聞いていると、片桐さんの取り組んでいるSPIKE事業は、「決済プラットフォーム」という枠に収まらないものだという印象を受けます。

はい、まさにその通りです。SPIKEアカウントを1つ持っていれば様々な関連サービスが利用できる、私たちが目指しているのは、単なる決済プラットフォームではなく、FinTechの総合プラットフォームなのです。

編集後記

「手数料では儲けない。決済データを利用して利益を出す」というメタップスの思惑。単にテクノロジーだけを出して終わらないその姿勢には、メタップス佐藤代表が掲げる、「経済の仕組みを変える」という思想が垣間見えます。

次々に新規事業を立ち上げ、市場に“種”をまくメタップス。その種が芽吹き育ったとき、日本の閉鎖した経済にどんな実を落とすのでしょうか。

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