INTERVIEW
2016.08.23

高野秀敏×中村真一郎【後編】これからの働き方。「自分らしく生きる」を勘違いしてはいけない

SHARE :
1
この記事をSNSでシェアする :

「自分らしく生きる」

近年、よく聞くようになった言葉だ。しかし自分らしく生きることだけが肯定されるべきではないと、高野秀敏は言い放つ。

「自分で給料を稼げるようになる前に、自分らしさを失いたくないっていうのは違うと思うんです」

ウィンコーポレーション代表、中村真一郎社長と超一流キャリアコンサルタントの高野秀敏代表の対談、後編。

個人も、会社も、変わりつつある「これからの時代」で真価を問われる。

前編:「そろそろ求人が止まる」10,000人と面談したキャリアコンサルタントは語る。

働き方の革命が起きている。しかし、勘違いしてはいけない

CR-0094

中村真一郎社長(以下、中村):
近年、副業やノマド、フリーランスも増えてきていますよね。5年前と比べてだいぶ市民権を得てきているように見えます。

高野秀敏代表(以下、高野):
シェアオフィスなども東京だけでなく地方にも増えてきています。PC・スマホ・Wi-Fiという環境があればどこでも仕事ができる。個人があたかも一つの会社のようになっています。働き方の革命が起きていると言えるでしょう。

中村:
今までの会社員は、会社の引いたレールに沿っていればよかったから、一度会社に入れば家族も安心できた。しかしフリーランスの人は、結果が出なければ食べていけない。

つまりは、自分のできることと引き換えに対価をもらえるような優秀な人が若い人の中にも増えているということ。そういう自立した人が増えたのはいいことですよね。

高野:
正社員や契約社員以外の概念も、昔よりもフレキシブルになっています。

もちろんマネジメントができるジェネラリスト人材はどの会社にも必要ですが、一方でスペシャリスト人材を会社の外において必要に応じて頼るというあり方もいいと思います。

例えば、会社を辞めた人と協力して事業を作っていくことも多いリクルートさんのように、退職者と敵対するよりも、退職者すら取り込んでいく会社は非常に強いように思います

離職率を下げるのももちろん大事ですけど、退職をどういう風に捉えるのかというのが重要です。

中村:
そういう意味では、現在はSNSなどのコミュニケーションの手段が増えてきて、フリーランスの方でも情報を得やすく、仕事も見つけやすくなっています。

まさに、個人の時代が到来してきていると言えるでしょう。会社にいても、社員の一人一人が自立して働いていかなくてはなりません。

高野:
近年は、「やりたいことやればいいんだよ」「自分らしく」という風潮がありますね。もちろんそれもいいことだと思うのですが、それ以上に「自分らしく生きる」というのを資本主義社会の要請に適合させなければいけないと私は思っています。

稼ぐ力を身につけずに「自分らしく」生きるということは、今の社会では不可能。自分で給料を稼げるようになる前に、自分らしさを失いたくないっていうのは違うと思うんです。

中村:
最近の若い人はそこを勘違いしている節がありますよね。

個人も法人も、昔の概念は捨てたほうがいい

CR-0123

中村:
弊社の位置する物流業界というのは、いわゆるブルーカラーの労働者を基盤にした業界。実は、正社員になりたい人よりも、派遣社員になりたい人の方が圧倒的に多いんです。

なぜだと思いますか? 「正社員はブラックだから嫌。派遣は労働基準を守っているから安心。」と言うのです。

例えば飲み会は労働時間外にも関わらず強制されているから、若い人たちにとってはブラックなんですね。「正社員」のイメージがブラックなものになっているのは、時間外労働をなあなあで済ませているから。

そこは今の日本社会が改善すべきことだと思いますし、実際、私も社員には「残業せずに早く帰れ」と言っています。

高野:
私の前の職場でも、残業を禁止にしたら売り上げも利益も上がったんですよね。

そもそも、残業が多いことにより離職率が高まると、採用コスト、育成コストがかなりかかってしまいます。育成コストは目に見えないから気づきにくいですが、存外これが大きいんです。

中村:
個人も法人も、昔の概念は捨てた方がいいですね。

企業の寿命は短くなったけれど、その分個人としてのキャリアは長い。現代は、自分なりの働き方をしっかりと考えられるいい機会じゃないでしょうか。

20代は仕事に全力を捧げる期間

CR-0060

中村:
私は、20代はとにかくやりたいことを、失敗してもいいからやるしかないと思っています。30歳までどのくらいの苦労をしたかで、自分が進む大まかな方向性がわかると思うんです。

30代になると、ある程度落ち着いてきてマネジメントができるようになる。40代になると体力が落ちてくるので、一種のあきらめを感じる(笑)。

高野:
体力は大事ですよね。サラリーマンであれ経営者であれ基本だと思います。

年代ごとの働き方として、20代の頃は全力で仕事にコミットしてほしい。私が20代の頃だったらそうすると思います。

私の見るところでは、ワークライフバランスを取れている方も、若い頃のお仕事の蓄積があったからこそ、それが実現できている。20代のうちに仕事の成果に注力していれば、30代、40代になってリーダー・マネージャーになってスカウトもされる

30代になって、20代までやってきたことを捨てて、全く違う業界に行かれる方もいますが、それはもったいないと思います。積み上げてきたものがあるので、それを生かしたほうがいいと思います。

中村:
それは僕も同感で、20代はキーポイントです。どれだけ結果を残すかの勝負。30代で一応道は決めておかなきゃいけないですが、そのためには20代の時に結果を出しておかないと難しいと思いますね。

編集後記

中村代表は物流業界で21年、高野代表は人材業界で17年。景気が良いときの業界も悪いときの業界も知っている。

その間には、長引く平成不況、リーマン・ショック、そして東日本大震災……経済が揺らぐようなことが何度もあった。楽しいことよりも、辛いこと、苦しいことのほうが多かったに違いない。

それでも、2人が今こうして代表という立場にいるのは、20代の頃から仕事に対して真摯に向き合ってきたためだ。

職場も働き方も自由に選べる、今の若い人間にこそ知ってほしいメッセージがこの対談には込められていた。

SHARE :
1
この記事をSNSでシェアする :

この記事を読んだ後に
よく読まれています!RECOMEND TOPICS